猫のウイルス感染症には、発症すると完治する方法がない病気もあるため、感染の予防が大切です。予防方法としてはワクチンが最も有効です。
猫のワクチンの種類
ワクチンの種類 | 予防できる病気 |
---|---|
猫3種混合ワクチン | 猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症、猫汎白血球減少症 |
猫白血病ワクチン(※) | 猫白血病ウイルス感染症 |
猫エイズワクチン(※) | 猫エイズ(猫免疫不全ウイルス感染症) |
(※)当院では、猫白血病ワクチン・猫エイズワクチンの接種は行っておりません。
はじめてのワクチンでは確実な免疫をつくるのに複数回の注射が必要です。(最新の研究では生後16週以降に最後の接種をすることが推奨されています)
その後は、1年に1回の追加接種が必要です。
※猫白血病ワクチン・猫エイズワクチンの場合、事前に血液検査が必要ですので、混合ワクチンとは異なるスケジュールで接種します。また、接種をおすすめしない場合もございますので詳しくはお問い合せください。
猫ウイルス性鼻気管炎とは?
ヘルペスウイルスによる感染症で、ひどいクシャミ・咳・鼻炎などの呼吸器症状や結膜炎をひき起こします。高熱で食欲はなくなり、鼻水と涙で顔中くしゃくしゃになるなど、典型的なカゼのような症状がみられます。
猫カリシウイルス感染症とは?
かかりはじめはクシャミ・鼻水・発熱など、猫ウイルス性鼻気管炎に大変よく似ています。症状が進むと舌や口の周辺に腫瘍ができることもあります。ときに急性の肺炎を起こして死亡することもあります。
猫汎白血球減少症とは?
白血球が極端に少なくなる病気で、パルボウイルスが病原体です。高熱・嘔吐・食欲がなくなり、下痢がはじまると脱水症状となります。体力のない子猫などは、1日で死亡することもある怖い病気です。
猫白血病ウイルス感染症・猫エイズについて
猫白血病ウイルス感染症・猫エイズ(猫免疫不全ウイルス感染症)は、1度感染すると完治する方法がありません。感染後、多くの猫は無症状のキャリアーとして生活しており、発症すると症状が重い病気です。
猫白血病ウイルス・猫免疫不全ウイルスともにワクチンが開発されています。しかし、ウイルスにすでに感染してしまっている猫にワクチンは有効ではありません。血液検査で感染が陰性であることを確認してから接種します。
また、猫白血病ウイルス・猫免疫不全ウイルスは感染経路が猫同士の接触と限られているおり、ワクチン接種には多少なりとも副作用のリスクがあります。十分に予防できる飼育環境であれば、無理に接種する必要はありませんので、詳しくは担当獣医師にご相談ください。
猫白血病ウイルス感染症とは?
白血病やリンパ腫(悪性腫瘍)・貧血・流産などを起こすほか、免疫力を弱めるため他のいろいろな病気にかかりやすくなってしまいます。一般的な症状は、体重減少・発熱・脱水・鼻水・下痢・食欲不振・口内炎・貧血などです。感染しても発病するまでは見た目は健康ですが、ウイルスを排泄して他の猫へうつします。
猫免疫不全ウイルス感染症とは?
人間のエイズとウイルスが似ていることから、一般的に「猫エイズ」と言われています。感染初期に、発熱・下痢などを引き起こしますが、その後の数年間は特別な症状が現れないキャリア期に入ります。
本格的に発症すると免疫力が抑えられていき、口内炎・鼻炎・皮膚炎といった数々の病気にかかりやすくなり、併発するようにもなります。末期では、健康時には影響のない弱い細菌に感染(日和見感染)したり、悪性腫瘍の発生が多くなったりします。
感染経路
猫から猫へのみ感染し、人間へは感染しません。猫での発症頻度は高いといわれています。
- 感染している母猫からの感染
- 感染猫との親密な接触による感染
- ケンカなどの咬み傷からの感染
などの感染経路があります。
猫白血病ウイルスは母猫からの感染が、猫免疫不全ウイルスは咬傷による感染が多いようです。
未感染であれば
- 室内で飼う
- 去勢手術をする
- 他の猫との接触を避ける
などの方法で感染をガードしましょう。

感染してしまっても
- 室内飼いを徹底して他の病気をもらわないようにする
- 安心して眠れる温かい場所を確保してストレスを与えない
- 食事に注意し飲水・トイレは常に清潔を保つ
- 定期的に健康診断をする
などの努力で長生きする猫もいます。
また発症してしまっても、対症療法で寿命を延ばせることもあります。
感染猫は他の猫に感染を拡大させないように室内飼いをします。
多頭飼いの場合は、感染した猫と他の猫の部屋を分ける、トイレと食器を共有にしないなどの注意が必要です。
猫のワクチン接種後の注意事項
注射後は激しい運動を避け、シャンプーは1日程度避けて下さい。
ワクチン接種時に接種反応がでることがあります。 接種部位の発赤・疼痛・膨張・硬結、顔や眼が腫れるアレルギー反応などがみられましたら、すぐにご来院下さい。
一番恐い接種反応は、アナフィラキシーといい、激しいアレルギー反応です。注射後1時間以内に発症する事が多いので、接種後1時間くらいはよく様子を観察してください。アナフィラキシーを起こすケースは非常に稀ですので、過剰にご心配されない方が良いでしょう。
ワクチンに関するお悩みや、接種後の症状に関するご相談がある方は、当院にお問い合わせください。
猫の混合ワクチンに関するQ&A
子猫の場合は、生後1カ月~3カ月の間に3回の接種が必要です。
成猫の場合は、1年に1回の接種となります。
個体により副作用が現れる場合もあります。万が一のことを考え、ワクチン接種は午前中に受けることをおすすめします。
猫白血病ワクチンの接種部位に1万頭に1頭の発症率で、線維肉腫などの肉腫ができることが報告されています。
子猫の場合は、最後のワクチン接種が終わってから2週間以上は散歩やトリミングを控えましょう。成猫の場合は、短時間の散歩であれば問題ありませんが、激しい運動は避けてください。
接種後、1日程度はシャンプーは控えるようにしてください。
ワクチン証明書を紛失してしまった場合は、当院までご連絡ください。再発行には手数料がかかる場合もございます。詳しくは、電話番号:0120(04)7777までお問い合わせください。